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【最新ニュース】絶滅まで残り14頭、保全の成果は──

2012年10月18日

※当会Facebookページから転載

ガラパゴスの保全の歴史50年の成果は──

ガラパゴス、エスパニョラ島固有のゾウガメは、ガラパゴスの保全が始まった1960年代に、メス12頭、オス2頭のみが発見され、野生化ヤギが増えていた同島での繁殖を諦め、人工繁殖のため、サンタクルス島のダーウィン研究所に連れてこられて、飼育繁殖が始まりました。

この14頭と、後でアメリカで見つかったオス1頭を加えた15頭で行われてきた人工繁殖ですが、1975年に初めて野生に17頭の子ガメが放たれ、現在までに1700頭以上を自然に返し、自然での繁殖も確認されています。

今回出た論文。
Recovery of a nearly extinct Galápagos tortoise despite minimal genetic variation
(Evolutionary Applications)


1994年時点では、人工繁殖で自然に返されたカメ同士の子の割合は0だったのが、2003年では3%に、2007年では25%にまで上がったことを報告しています。繁殖の始めが15頭という少なさ。これは遺伝的多様性が低い状態で、これらの子供同士が繁殖をすると('兄弟'や'従姉妹'との繁殖の割合が高い)、繁殖率や生存率が低くなる可能性も考えられていました。しかし今回、自然繁殖下での個体数が急速に増加していることが分かり、50年に渡るゾウガメ保護増殖プログラムが、成功したことが証明される形になりました。
※今回の論文では、15頭のうちの、どのオスがどのメスと繁殖し、どれだけ子孫を残したのかが報告されています。すごいです!
ゾウガメだけでなく、世界中の絶滅に瀕した動物の人工繁殖についても参考になる結果です。

また放ったカメの大きさ(ひいては歳)毎の成長率や死亡率に大差のないことも分かり、繁殖プログラムがイレギュラーでもこの種の保全が成功していることも分かりました。
詳細は論文(上のリンク)をPDFでダウンロードしてご覧ください。

人工繁殖のゾウガメは、孵化後4〜5年を飼育されて育ち、その後自然に放たれます。
ガラパゴスでは、ゾウガメ14亜種のうち、4亜種が絶滅。残りの10亜種のうち、8亜種の繁殖プログラムが行われており、プログラム開始から現在までに自然に放たれたゾウガメは5000頭を超えました。最初に自然に放たれたのが1970年代。そしてゾウガメが繁殖年齢に達するのは30才くらいとされており、息の長い保全がようやく成果を残した形となりました。
過去、数十万頭ものゾウガメが人間の手により殺されました。壊すのは一瞬ですが、それを元に戻すことの大変さをうかがわせるプログラムです。
当会でも、ダーウィン研究所の保全事業への支援を継続して行っていきたいと思います。


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Posted by ジョージ・フィンチ at 18:26│Comments(0)最新ニュース
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