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【最新ニュース】絶滅ゾウガメの遺伝子を持つ個体発見

またまたガラパゴスゾウガメのニュースです。

ガラパゴス諸島の固有種ガラパゴスゾウガメは、15の亜種のうち
4種は、人間の乱獲により既に絶滅したとされています。

9月22日に米国で発行された論文で、絶滅したとされていたフロ
レアナ島亜種と同じ遺伝子を持つゾウガメが、現存のイサベラ島ウォル
フ火山亜種の中から見つかったことが明らかになりました。

論文（原文）
Proceedings of the National Academy of Science of the United State of
America(on line)

ニュース（英語）
BBC
National Geographic

米国イェール大学の研究者らが報告したもので、絶滅亜種の遺伝子は、
米国国内の博物館に収められている標本から採取され、25の個体
から遺伝子配列を得ました。その遺伝子の一部と、ウォルフ火山に棲息
するゾウガメ複数匹の遺伝子が一致したということです。

イサベラ島には6つの火山があり、うち5つの火山にそれぞれ異なる亜種
が棲息しています。以前より、その中の一つ、ウォルフ火山のゾウガメ
は、他の火山のゾウガメと形態的に異なっている上に、複数の種類が存
在することが指摘されていました。

この研究者達は、仮にウォルフ火山にフロレアナ島亜種がいたとする
と、それは人間の仕業ではないかと考えています。かつて（16世
紀頃〜）人間は、食料や油の採取のためにゾウガメを船一杯に積み込
み、持ち去りましたが、度々たくさん積み過ぎて、船から余分なゾウガ
メを落としたことが分かっています。

このため、採取されたフロレアナ島のゾウガメがイサベラ島に流れ着
き、そのまま定着し生き残ったと考えられています。皮肉にも絶滅の原
因を作った人間によって、復活する可能性が出てきました。ただし、復
活には数世紀が必要だろうとのことです。

フロレアナ島には1835年、チャールズ・ダーウィンが上陸したこ
とが知られていますが、この上陸から2,30年後に、この島のゾウ
ガメは絶滅したとされていました。

「ビーグル号航海記」には、当時ゾウガメの集積地とされていたこのフ
ロレアナ島で、ダーウィンが当時の副総督から「ゾウガメは島によって
異なり、そのゾウガメがどの島からやってきたかは一目で分かる」と教
えられたことが記されており、進化論着想のヒントになったことが窺わ
れます。

遺伝子研究の発展が、ゾウガメを絶滅から復活させるという「快挙」に
繋がりそうです。
研究者達は12月にもウォルフ火山への再調査を行うということ
で、今後の展開が楽しみです。
[事務局TO]

参照：「ひとりぼっちのジョージ」早川書房2006