【最新ニュース】ダーウィンが採取したマネシツグミ標本からDNA
2009年11月20日
ガラパゴス諸島南部のフロレアナ島という島をご存じでしょうか?
(地図:「Floreana」)
170年ほど前にダーウィンが上陸した4つの島の一つで、ダーウィン上
陸の数年前に、諸島で初めて人間の入植が始まった島でもあります。
ダーウィンは、この島固有の「フロレアナ・マネシツグミ (Floreana
Mockingbird)」(写真参照)という鳥を採取し、標本にして英国に持ち
帰っています。
著書「ビーグル号航海記」には、「驚くべきことに、この鳥が島によっ
て種が異なっていることを発見した」という記述があり、ダーウィンが
進化の理論を着想するに至った、最初の切欠となった生物とも言われて
います。(現在では、諸島に4つの異なる種が生息していること
が分かっています。地図参照)
しかしその数年後、入植した人間が持ち込んだネズミなどの外来種の影
響で、この鳥が島から消えてしまい、現在では、この島の2つの離れ小
島、チャンピオン島とガードナー島に計477羽が生息していることが
分かっています。
現地では、この種の生存を確実なものとするため、小島に生息するフロ
レアナ・マネシツグミを、本来の生息地であるフロレアナ島へ再導入す
る計画が進められていました。
そんな中、今回、ダーウィンが採取したフロレアナ・マネシツグミの標
本2つと、現在生き残っている2つの小島のマネシツグミから、
DNAが採取され、遺伝子の調査・研究が行われました。
その結果、現存する2つの小島に生息する種は、それぞれ遺伝的
に異なる集団であることが分かりました(ダーウィンの標本とも異な
る)。ただし、独立した種を形成するには至っていないということです。
チャンピオン島の種は、ガードナー島の種にはない遺伝情報を保持して
おり、これらのことから、この鳥のフロレアナ島への再導入には、遺伝
的多様性を最大限確実なものとするため、それぞれの小島の個体群を保
護しつつ、両方の小島から個体を移入し、3番目の個体群をフロ
レアナ島に形成させるのがいいのではないか、と研究者らは語っていま
す。
詳細は、英国の新聞・TVのオンライン記事をご覧ください。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/science/biology_evolution/article6920757.ece
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8364778.stm
ただし、チャンピオン島の個体は、最新調査で47羽しか生息が確
認されておらず、これまでの計画では、ガードナー島からのみの導入を
考えていました。
どのような導入がベストかは分かりませんが、少なくとも今回の研究結
果が、保全に大きな影響を与えることは確かです。今後、チャールズ・
ダーウィン研究所で、どのような判断がなされるのか、また連絡が入っ
たらここでお知らせします。
なお当会では、このフロレアナ島の保全プロジェクト「プロジェクト・
フロレアナ」を支援しています。近日中にこのプロジェクトの詳細を、
当会サイトにアップする予定です。皆さんのご支援を頂けたらと思って
います。
[事務局TO]
(写真は、フロレアナ・マネシツグミ)
Posted by ジョージ・フィンチ at 17:07│Comments(0)
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